タイル面の高圧洗浄にご注意を!できたら「しない」方がいい理由とは?

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三商事の上神谷です。 いつも更新は長坂にお願いしているのですが、本当に久々に私もします!

今回は「タイル面の高圧洗浄」についてです。最近では高圧洗浄機の性能もあがり、ケルヒャーなど簡単に手に入る洗浄機もあるため、買い求めてご自身でされる方も多いと思います。

ですが、タイル面の高圧洗浄をされる際のご注意を・・ということで書いていきたいと思います。結論から言えば「タイル面の高圧洗浄はできたらやらない方がいい」のです。

どうしてそういう結論に至るのか?その経緯と「やらない方が良い理由」をお伝えしていこうと思います。

タイルの貼り方と築年数

今回の記事は「私への忘備録」という側面もあります。現場で実際に起きたことですので・・。

 

こちらは「外壁に貼られているタイル」です。高圧洗浄をしているそばから剥がれ落ちました。築30年ほどのお家でして、外壁についている力が経年劣化で弱まっているということは当然のことだと思います。

こちらは「塀」に貼られているタイル」です。このタイルの目地(隙間)にコケが大量についていたため、外壁塗装の洗浄の際に一緒に洗浄をしました。そしてこのように剥がれました。築年数は先ほどの家と同じの30年ほど。

洗浄が直接の原因でありますが、当然新築時でしたらこのようなことはありません。築年数が20年以上、30年以上経過しているわけですから固着しているモノの性能は経年劣化で落ちてきます。それともうひとつは「貼り方」でして

この床のタイルは「目地」が施されています。このように目地が詰めてあればちょっとやそっとのチカラでは剥がれることはありません。ですがさきほどのタイルにはこのような目地はありません。ですのでタイルとタイルの間に隙間があるわけです。これは「貼り方のデザイン」「このタイルの貼り方」からしてわざと目地をいれません。つまりこういう貼り方で正解なのですが・・・。

だからこそ外壁に、塀に固着している力が経年劣化で弱まればはがれやすくはなります。目地のあったタイルは「目地によっても固着されている」ためにはがれにくいのです。

剥がれた後に起きる問題とは・・・?

最初の写真の外壁のタイルは一階部分のタイルです。洗浄をしたそばからはがれて、落下したところは柔らかかったためにタイルそのものは無事でした。つまり、この場合はこのタイルを再度接着(エポキシ2液の接着剤などで)すれば解決するのですが・・。

塀のタイルは「洗浄時より何日も遅れて、時間差でひとりでに落下」してきたことに加え「落下した場所が固い場所」であるため、タイルは3つに割れてしまいました。タイルは剥がれ落ちるとなると、大概このようになるケースがほとんどです。

先の外壁のタイルも、そのタイルの外壁は二階部まであります。剥がれ落ちたものが一階部のものでなく、二階部のものだったら、もちろん落下の衝撃で割れてしまっていたことでしょう。

原型をとどめていれば貼りつけができて解決するのですが、そうできない場合がほとんどです。問題はこうなってしまったときの対処の仕方です。

原型をとどめていないために「新しいタイルを」といいたいところですが築20年、30年経過した家に使用しているタイルというのは現存しません。したがって「似たタイル」を取り寄せて張り付けるということになりますが、そのタイルにこだわりがある・・という方には「どこか違ってしまっている」違和感のある修繕になることでしょう。

そして新品を取り寄せた場合、さらに起きる問題が「取り寄せられる数量」です。タイルというのは1枚では買い求められないことがほとんどです。50枚、100枚という単位での取り寄せ、いわば購入になります。

1枚しか使用しないのに残りの49枚はどうしよう?・・となることがほとんどです。

こうならないために取る手段は「リペア」という手法になります。リペアというのは「新築引き渡し時、転居時などで家や、部屋に発生してしまった事故による「小さな傷」を修繕することです。そしてリペアは「専門の業者」が手掛けます。つまり「それが商売として成り立つ」くらいに、実はそういう事故、修復は日常茶飯事、いたるところで発生しているということです。業者さんに聞いてみたところ「お仕事は切れない」そうです。

きれいな新築の家、転居後のお部屋が手に入れられるのはこういう業者の活躍があればこそですね・・。

この場合は3つに割れたタイルを使って修復するということになります。今回のケースで言うところのリペアのメリットは・・・

①新しいまったく同じタイルを手に入れられる可能性は限りなくゼロに近い。それでも探そうとするならば、探している時間が膨大に必要ですが、それが全くない。取り付けまでの時間が圧倒的に短縮になります。

②奇跡的に「新しい同じタイル」が手に入っても、片や無事な部分の「築30年経過している様子、風合い、体色、変色加減」があるのに対して、いかにも「新品さ」がでてしまう。リペアでしたらそれがない。

3つの破片をエポキシ2液型接着剤で固着させたのち、小さなかけらとなって砕け散ってなくなってしまった「左上角」の欠損部をパテで成形しました。この「接着している部分の接着剤」はしっかり固着させないといけない都合上、どうしてもつける量が多くなります。故に傷口を付けた際にはみ出た分が「盛り上がる」ので、これを周りに合わせて「平滑」になるようにしないといけません。

それとご覧のとおり接着剤はグレーですので、ここは周りのタイルの色と合わせないといけません。このタイルの色は「いろいろな色」で構成されていますので、そこもうまく表現してあわせないといけませんし、なおかつ、この「艶の引けている感じ」もださないといけません。艶が出ては違和感になります。ですので「艶の出ない塗料」を「この風合いの色になるように」「何色も」「量の割合も考えて」混ぜないと合いません。そしてこれを「見ただけ」で感じ取って調色するのですからすごいです。

リペア業者さんと話したのですが、今は車の板金塗装などでは「自動でその車の色の塗料調色の割合を判定できる装置」があるとのことでした・・・。かなり高価なものとのこと。でもそういう装置の出現で、この「経験と勘」から繰り出す「特殊能力」も無くなっていってしまうのはもったいないような気がします・・・。

私たち塗装屋も調色はしますが、やはりリペア業者の方がレベルが高い(少なくとも当店よりは)です。正直・・・。

そしてとりつけた様子がこちらです。

「接着剤のあと」も「欠損していた左上角をつけました!感」も「接合部の色の違い」もまるで見当たりません・・・。「ほぼ」前と同じになりました。「ほぼ」と書いたのは「タイルに10センチ位まで近づいて、目を凝らして見て、なおかつ光線の当たる角度によっては」傷はわかります。でも割れた事実を知らない方でしたら「何かの引っ掛かりの傷?」くらいに薄いものです。

日々、塀に向かって10センチまで近づいて見ながら暮らしている方も少ないでしょう・・・。

それくらい「普通に生活しているレベルではほとんど気にならない程度」にまで復元できました。

今回の責任問題・・・

今回は洗浄に起因しているという当店の判断から「当店の責任において復元」いたしました。

外壁のタイルのケースは原型をとどめているため、また取り付ければ問題はありませんが、塀のタイルについてのリペア費用については「保険対応」としました。このような場合に備えての保険ですから・・。

ただこれは施工業者によっては、どういう対応になるかはわかりません。当店ではこのようにいたしましたが、違う業者がこのお客様を工事していて、おなじことが起きたら当店と同じように対応していただけたか?は私には言い切れない部分ではあります・・・。(特に塀のタイルの件のほう…)

タイル面の洗浄はできたらしない方が良い・・のまとめ

・外壁塗装の際のタイル面の洗浄は以下のリスクがあります(目地の埋まっていないタイルの場合)

(1)築20年、30年経過している住宅の外部に貼ってあるタイルは経年劣化で、洗浄の際に剥がれ落ちる可能性がおおきい。剥がれ落ちた場合、壊れてしまうことがほとんど。そのタイルに愛着がある場合、壊れてしまえば新品の同じタイルは取り寄せができない。似たようなものならそろうかもしれませんが、愛着があればあるほどそれでは違和感がぬぐえません。(違いが許容できるのでしたらいいと思います)

(2)膨大な時間を費やしたのちに、仮に奇跡的に取り寄せができたとしても「こだわり」がある方にとっては逆に「新品です感」が違和感になる。その場合はリペアという手段もある。ですが「消えそうなくらいの薄い傷」は残るかもしれません。これをどうお感じになられるか?は個人差‥はあると思います。

(3)剥がれたあとの対処をしていただくと思いますが、その「していただき方」は業者の状況、考え方によって違ってきます。保険などの有無もあります。

(4)これらのことを考えた場合に最良の手は「タイル面は高圧洗浄はしない」だと思います。塗装箇所としては対象外なわけですから、このようなリスクを考えれば洗浄はしない・・もひとつの考え方です。

ですが今回の塀のように「目地の隙間にコケがびっしり」という状態でしたら、洗いたくなるのも必然でしょう。その場合は外壁塗装の高圧洗浄時・・ではなく「ご自身でホースで水を流しながらやさしく、ブラシなどでこする洗い方」がいいです。時間はかかりますが十分落ちます。

外壁に2階部まで付けられているタイルをすべてそれで洗う・・は不可能ですが、塀くらいでしたらご自身でも可能です。ただ、今回のはがれた要因ですが「高圧洗浄の威力」だけではなく「洗うときに使う水そのもの」も起因しています。経年劣化で接着の弱くなっているところに「接着に対しての弱点である水」がまわってくるわけですから、高圧洗浄をしなくても雨や雪などが原因でどちらにせよ、先々には剥がれていたかもしれません。

改めて申しますが、当店では今後このようなご相談があった場合はこのようなリスクをきちんとご説明した上で、洗浄をする、しないを決めていきたいと思います。

 

 

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