サイディング外壁も放置すると剥がれが…!長持ちする塗装工程をお伝えします!
「ウチはサイディングの外壁だから塗装はしなくていいんですよ」
このように思われている方、そう聞いたという方が結構いらっしゃいます。
サイディングには「窯業系」「ガルバリウム鋼板の金属系」などがありますが、多くの住宅に使用されているのは「窯業系」のものです。
窯業系サイディング
「主原料としてセメント質原料および繊維質原料を使用。それを成型し、養生・硬化させた板状の建材」
(サイディングメーカー ニチハ株式会社のホームページより引用)
「意匠の点」や「保護の点」からサイディングにも塗装は施されています。
したがいまして、塗装が劣化してくれば再塗装が必要となってくるのです。
もし、塗装をしないとなると・・・
「主原料がセメント質原料と繊維質原料」ですので、塗装の防水効果がなくなってくると素材そのものは「水を吸収しやすいもの」なので大変「脆く」なります。
上の写真はそのように脆くなって「半ば崩れてしまいそうな」様子です。
青白い部分が塗装が残っている部分で、ベージュの部分は塗装がなくなり素材がむき出しになっている部分です。
でこぼこしているのが分かると思いますが、劣化して崩れてしまっています。
こうなると「塗装をしても直らない」ということにもなりかねません。
ですので、塗装が施されているサイディングには再塗装が必要なのです。
※再塗装が必要となる年数はサイディング(の塗料)の質により異なります。
サイディングの塗装はどこを注意する必要がある?
モルタルの外壁はモルタル特有の「痩せ(収縮)」から「クラック(ヒビ)」が入ったりしますが、サイディングそのものにクラックはあまり入りません。(打ち付けた釘のところが欠けているのを見ることはありますが・・・)
「塗装の劣化」も起きますが、それより早く傷む箇所があります。
それは「目地」の部分です。
目地とは以下の赤いところで囲んだ部分のことです。
サイディングとサイディングのつなぎ目である「目地」に「シーリング」と呼ばれるものを詰めています。
サイディング自体はしっかりした硬質の板ですが、周囲の振動からくる微妙な動きや伸縮による動きは発生します。
その動きがどこへ吸収されるのかというと、この「目地」にいくわけです。
この部分は新築時はやわらかいのですが、時間の経過や雨風や夏の暑さ、冬の寒さなどの外的要因から、次第に硬くなっていきます。
やわらかいが故にその効果を発揮している部分ですので、硬くなってくるとその微妙な動きについていけなくなります。
伸縮性のなくなった目地と伸縮を繰り返すサイディング。
これによりシーリングとサイディングのくっついている面に「隙間」が出来てしまうのです。
先ほどの画像は、既に隙間が出来ています。
そして、硬くなってきた目地のシーリングそのものも「ヒビが入り、やがて裂けてきてしまう」のです。
このようになっているとどのような“不具合”をお家にもたらすのでしょうか?
一番の心配はこのような箇所から雨水が侵入してくるということです。
このサイディングの更に奥には防水のシートが貼ってあります。
余程の事態にならない限り、それ以上、雨水は入ってこないはずですが、サイディングそのものは「水を吸収しやすいもの」。
決してこのような状態は良くないのです。
軽く指で“つまみ出せて”しまいました。
それらの「破片」です。
それと、写真では表現しにくいのですが・・・
これは私達がホコリを払ったりする時に使う「ラスター」という道具ですが、これでそのシーリングの部分を“掃くだけで”ぼろぼろとシーリングが落ちてきてしまいました。
もう完全に“風化”してしまってます・・・。
このシーリングの部分のチェックのポイントは?
・指で触って“硬く”なっていないか?
・ヒビ、亀裂が入っていないか?
・裂けていないか?(その下が見えるくらいに)
・飛び出していないか?
特に「日当たりの良い壁面」からこのような症状が見られます。
もし、このような症状が現れていたら、塗装やシーリングの打ち直しを考えた方がよろしいかと思います。
新築時、このシーリングの部分はほぼ「むき出し」です。
シーリングを充填してあるだけです。
むき出しということは、直に「日差し」「雨風」にもさらされることになります。
それもシーリングの劣化の要因になるわけです。
これに比べて塗り替えの場合、既存のシーリングの状態が無事でそのまま使うにしろ、劣化が著しく「打ち替えた」ものにしろ、新しい塗料によって目地のシーリングは覆い隠されることになります。
むき出しの状態ではないが故に、直に雨風などにさらされることはなくなります。
注:外壁の塗装をした後にシーリングを新しくする場合もあります。
サイディング自体も経年劣化するのですか?
シーリング〈目地の部分〉について様々書いてまいりましたが「サイディングそのもの」は経年劣化するのかというと、やはり劣化はしてきます。
ものにもよりますが「色ムラ」などが出てくるケースは何度も見ていますし、サイディングそのものが劣化してくるケースもあります。
最初にご紹介した画像は、そんな事例の一つです。
サイディング外壁 実際の塗装の手順をお伝えします!
下地がある程度しっかりしていれば、高圧洗浄後の塗装作業は大抵「3工程」です。
下塗り材(白い塗料)を1回塗り、上塗り材(お客様が選んだ色)で中塗り1回、上塗り1回と塗っていきます。
ただし、劣化が進んだ状態だと3工程で済まないこともあります。
下塗り材を塗装するための下準備や下塗り材を2回塗るなどの工程が加わるため、4回以上の工程となることもあります。
劣化の度合いが進行するほど「しっかりとした」塗装をするには「手間」と「材料」が余分に掛かるわけですね。
出来るだけ早めに塗装を・・・をというのは、こういうことなのです。
実際の施工の仕方なのですが、サイディングのつなぎ目のシーリングが下の写真のようになってしまっているまま、塗装を開始してしまっては意味がありません。
ですので、まずは「下地処理」からしていきます。
今回のお話は、既存のシーリングが劣化している為、それらを完全に撤去して行う「打ち替え(打ち直し)」のケースです。
先ほどの写真の箇所のシーリングをカッターなどで切り、取り除きます。
次にシーリングを充填するべき、つなぎ目の両側にテープを貼っていきます。
このテープがないとシーリングを充填した時に、はみ出たりして塗装をした時の仕上がりが悪くなります。
ですから、そうならないようにテープを貼るわけです。
塗装の時は様々な種類のテープを使いますが、このテープは「ラッカーテープ」といいます。
一般的な「マスキングテープ」とほぼ同じような物で、接着の強さがあまり無いので剥がす時に重宝します。
次に「バックアップ材」を溝に入れます。(使用しない場合もあります)
テープを貼ったら、プライマーを塗ります。
これはシーリングを密着させる為のものです。
ほとんど無色透明で水のような質感です。
刷毛にたっぷりつけてしまうと、塗る時に垂れて流れてしまいますし、付けなさすぎてもいけないので、このような質感のものを塗る時には気をつけないといけません。
これを、シーリングを取り除きいわば「溝の状態」になっている部分に塗っていきます。
そして、次にプライマーを塗布後、シーリングを充填していきます。
そして、テープを剥がすと・・・
このように、先ほどまでボロボロだったシーリングの部分がきれいに新しいものにとって代わりました。
ここまでして、ようやく「外壁の塗装」に取り掛かれるというわけなのです。
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2006年8月12日公開
2024年4月18日加筆修正
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